防犯カメラを設置する前に知っておきたいプライバシー侵害のこと
店舗やアパートに防犯カメラの設置を検討している方の中には、
「防犯カメラはプライバシーの侵害にならないだろうか」 「防犯カメラを設置しても上手く活用できるだろうか」
といった不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事実、防犯カメラの利用方法を誤ると、トラブル解決の役に立たないどころか、逆にトラブルのもとになってしまうこともあります。
そこで今回は防犯カメラを正しく活用できるよう、防犯カメラの設置前に知っておきたいプライバシー情報についてまとめました。
この記事を読めば、防犯カメラのトラブルに関する大方の不安は解消されるでしょう。
防犯カメラの設置とプライバシー侵害の危険性
防犯カメラは無差別に人を撮影するため、本来の目的である防犯以外の、必要以上の情報が映りこんでしまうことがあります。
特定の個人が識別できるレベルの映像ですと「個人情報保護法」で規定されている個人情報にあたります。
法律に則した正しい管理を行わないとプライバシーの侵害として訴えられる危険性もありますので注意が必要です。
防犯カメラと個人情報保護法の折り合い
ひとり一人のプライバシーの権利を守るため、日本では個人情報保護法が制定されています。
防犯カメラを設置する際は経済産業省のガイドラインに従わなければならず、主に以下の解釈がなされています。
防犯カメラによって特定の個人が識別できる映像を撮影する場合は、原則として個人情報の利用目的を本人に通知・公表しなくてはいけない
個人情報の利用目的が明らかであると認められる場合は、利用目的の公表の必要はない
一般的に防犯目的のための防犯カメラ設置は利用目的が明らかと認められ、利用目的の公表の必要はないとされる
つまり、店舗内であれば防犯カメラを設置する理由が明確なため、利用者に防犯カメラの設置を告知する必要はありません。
ただし、公共の場やオフィス内に設置する場合など、防犯カメラを設置する理由が曖昧なところでは防犯カメラの設置という事実を利用者と共有する必要があります。
防犯カメラの設置には市町村ごとにガイドラインがある
防犯カメラの設置には経済産業省だけでなく、各市町村も独自のガイドラインを定めています。
例えば、弊社の拠点である神奈川県川崎市の場合、
主に、犯罪の予防を目的に設置したもの
不特定多数の者が利用する施設を撮影するもの
画像記録装置を有するもの
という3点を満たす防犯カメラにガイドラインを課しています。
主なガイドラインの内容としては、以下の項目です。
防犯カメラの設置者は、カメラの管理全般に責任を持つ「管理責任者」を指定すること
管理責任者及び指定された操作担当者以外の操作は禁止
画像データの保存期間は、目的達成のための必要最小限の期間(概ね1箇月以内)
設置者等は、画像データ及び画像から知り得た情報を第三者に漏らしてはいけない
ただし、
(1)法令等の定めがあるとき。
(2)人の生命、身体又は財産を保護するため、緊急かつやむを得ないと認められるとき。
(3)捜査機関から文書にて、犯罪捜査の目的で要請を受けたとき。
に該当する場合は例外。
市町村ごとに多少異なっているので自治体のホームページで確認すると良いでしょう。
防犯カメラによるプライバシー侵害の裁判例
防犯カメラの設置とプライバシーの権利を巡り、実際に裁判まで発展したケースを紹介します。
2015年東京地裁で判決した事例では、「庇等に設置してある防犯カメラ4台がプライバシー侵害の侵害である」と隣人が主張し、裁判が行われたというものがあります。
結果的には「防犯目的が含まれており、原告らに対する監視目的は認められない」という判決となりました。
しかし、防犯目的であるとはいえ1台のカメラが隣人の日常生活を把握できる状態にあるとして、原告の撤去の主張が認められました。
そして、原告1人当たりに10万円の慰謝料支払いを命じられたというケースです。
これは個人間の防犯カメラトラブルの事例ですが、住宅街の店舗の場合には起こり得ることなので、十分に注意する必要があります。
防犯カメラによるプライバシー侵害を防ぐために
防犯カメラを敷地内で、防犯目的で設置する分には全く問題ありません。
しかし、公共の場を映す場合や第三者の生活が映ってしまう可能性がある場合には注意が必要です。
トラブルを未然に防ぐために
市町村のガイドラインをよく調べる
防犯カメラ設置の際に工事会社に確認をする
といった対策を取っておくと良いでしょう。
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